おわら風の盆は、輪踊りにも参加するとよりいっそう楽しめます。豊年踊り(旧踊り)はとても面白く、ずっと踊っていても飽きません。
私は風の盆3回目にして、初めて現地で輪踊りに参加。(風の盆1回目は2016年、2回目は2017年、3回目は2019年)。
風の盆3回目に足を運ぶ前、旧踊りの“素踊り”だけを予習して行ったのですが、“宙返り”と“稲刈り”の所作の部分では、全くついて行けずまごまご…
特に“稲刈り”の所作は、キョロキョロして周りの方の真似をしようと試みるも、「えっ?えっ?どーゆー事?」と、何が何だかさっぱりわかりませんでした。
悔しくて、帰宅後すぐ、過去に出版された風の盆の書籍を図書館で借りたり、自分で撮った動画などを参考に、“宙返り”と“稲刈り”の所作も含めた“豊年踊り”を徹底的に研究しました。
私の経験では、予習なしで輪踊りに参加して、周りの方の踊りを真似して見よう見まねでチャレンジした場合、一番手こずるのは、やはり『稲刈り』の所作だと思います。
『稲刈り』の所作の順序と動きだけは、きちんと覚えておくと、他は、見よう見まねでも、どうにかついていけるかもしれません。『素踊り』は、基本の踊りで、唄と唄の間の合いの手といわれる間奏曲の時などに踊ります。
こちらでは、豊年踊りに関して、動画では解りにくい動きを自己流の文章で細かくまとめてみましたので、豊年踊りを覚えたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
足の運び方には触れていませんが、輪踊りに参加した時のノリで、どうにでもなると私は思います。
参考にした書籍の中で、1か所、豊年踊りの仕草の注釈に単純な誤りが有る事に自分で気づき、他の箇所の注釈と照らし合わせて正誤を正し、後に、こちらの記事も修正したりしています。
少しでも解りやすく見やすい頁にできればと思っていますので、これからも気づいた事が有れば少しずつ記事を更新していこうと思います。
輪踊りに参加すると、おわら風の盆の奥深さと繊細さに改めて気づきます。
豊年踊りをより美しく踊る為に、指先の細かな動きや足の運び方なども追求すればするほど、やってもやっても奥が深いと感じるのではないでしょうか。
八尾の町の方々は、唄い手、囃し手、三味線、胡弓、太鼓など、音楽を受け持つ地方(じかた)の方と、踊り手の方が、風の盆の3日間の為に、一年中稽古をされている様です。それぞれの磨き上げられた芸を身近で体感する空間は、情緒豊かで優美で、日本人の誰をも魅了し、若い踊り手の方々が、旧踊りの豊年踊りや、新踊りの女踊りと男踊りを踊る様は大変艶やかで、“見惚れる”の一言です。
初めて豊年踊りの踊り方を覚える時は、心の中で掛け声をかけながら踊り、所作ごとに、一つ目を覚えたら、次は二つ目を覚えてから一つ目と二つ目を続けて踊ってみる。次は三つ目を覚えてから一つ目と二つ目と三つ目を続けて踊ってみる…の繰り返しで、まずは『素踊り』を最初から最後まで続けて踊れる様にして、
次に『宙返り』と『稲刈り』の所作を単独で覚えたら、
『宙返り』の所作は、『素踊り』の中の『種まき』の代わりに入れるだけですし、
『稲刈り』の所作は、『素踊り』の中の『傘脱ぎ』と『合掌』の間に入れるだけです。
以下、○で囲まれた数字の箇所(赤の文字)は心の中での掛け声です。掛け声は、自分が覚えやすく踊りやすい様にアレンジしたら良いと私は思っています。数字の順に踊ります。●印の太字の箇所は踊り方の動作の説明です。
【素踊り】
●両手を左耳横で3拍・右腰前で1拍
※棚に置いてある種もみの箱を入れ替えたり種もみをふるいにかけたりしている仕草
②ひい
●(左手の平は上向きで)
(右手の平は下向きで)
(肩幅で肩の高さで)
両腕を前に伸ばす
③ふうの
●(両手の平を同時に右に裏返しながら)
両腕を斜め前(膝の前)に降ろす
(左手の平は下向き)
(右手の平は上向き)
④みい
●(両手の平を同時に左に裏返しながら)
両腕を最初の様に(肩幅で肩の高さで)前に伸ばす
(左手の平は上向き)
(右手の平は下向き)
※箕(み)と呼ばれる農具に種もみを入れ右へ左へと種をまく仕草
⑤右へまいてチョン
●前に両手を伸ばしたまま、右手首を手前にくるりと回して右手の平を上に向ける(=左右の手の平は上に向いている)
⑥左へまいてチョン
●前に両手を伸ばしたまま、左手首を手前にくるりと回してもう一度上に向ける
※種まきを終えた後に箕の中に種が残っていないか右と左へ振って確認している仕草
⑦右へ流してチョン
●(右手の平を下に向けて、肩の高さで)
(左手は右手に平行で、両手の平は向かい合わせて)
右方へ流す
⑧左へ流してチョン
●(左手の平を下に向けて、肩の高さで)
(右手は左手に平行で、両手の平は向かい合わせて)
左方へ流す
※作業が終わって笠を脱ぐ仕草
⑨真ん中へそれトン
●男性⇒(両手の平を内側にして)おへその上辺りに添えてから、
両手の平を外側に反して腰の巾より外に開く
●女性⇒(両手の平を内側にして)おへその上辺りに添えてから、
両手の平を外側に反して揃えて斜め前へ下ろす
※一日の作業を無事終え天に向かって合掌をしている仕草
⑩それイチ
●男性⇒(手の平は外側に向けて)
両手をおでこの上辺りに上げて、両肘も垂直に力強く上げる
●女性⇒(手の平は外側に向けて)
両手をハの字で口元に添える
⑪ニの
●両手の平は下に向けて斜め前に軽く伸ばす
⑫サン
両腕を前へ広げ、体は少し右手の方を向く
(左腕は左横に、肩の高さよりやや下)
(右腕は右斜め前に、肩の高さ)
●女性⇒(両手の平は下にして)
両腕を前へ広げ、体は少し左手の方を向く
(左腕は左横に、肩の高さよりやや下)
(右腕は右斜め前に、肩の高さ)
『呼び出しの手』
※農作業の始まりを告げる呼び出しの仕草
チョチョチョンのチョン
『ふるいの手』
※棚に置いてある種もみの箱を入れ替えたり種もみをふるいにかけたりしている仕草
ひいふうのみい
『種まきの手』
※箕(み)と呼ばれる農具に種もみを入れ右へ左へと種をまく仕草
右へまいてチョン左へまいてチョン
『確認の手』
※種まきを終えた後に箕の中に種が残っていないか右と左へ振って確認している仕草
右へ流してチョン左へ流してチョン
『傘脱ぎの手』
※作業が終わって笠を脱ぐ仕草
真ん中へそれトン
『合掌の手』
※一日の作業を無事終え天に向かって合掌をしている仕草
それイチ
『直りの手』
※全ての作業を終わり身体を伸ばし一息ついている仕草
ニのサン
【宙返り】 ※唄の上句で宙返りが入る
●両手を左耳横で3拍・右腰前で1拍
※棚に置いてある種もみの箱を入れ替えたり種もみをふるいにかけたりしている仕草
②ひい
●(左手の平は上向きで)
(右手の平は下向きで)
(肩幅で肩の高さで)
両腕を前に伸ばす
③ふうの
●(両手の平を同時に右に裏返しながら)
両腕を斜め前に降ろす
(左手の平は下向き)
(右手の平は上向き)
④みい
●(両手の平を同時に左に裏返しながら)
両腕を最初の様に肩幅で肩の高さで前に伸ばす
(左手の平は上向き)
(右手の平は下向き)
『宙返り』
※つばめが虫を追って宙返りをする仕草
⑤それ
●(左腕は前に伸ばしたまま、手の平を下に向けて)
右手の平を左肘の曲がり目辺りに軽く乗せる
⑥イチ
●右手の平を右太ももの前に(手の平を外に向けて)軽く添える
⑦ニの
●右手の平を右太ももの前に(手の平を内に向けて)軽く添える
⑧サン
●(右手の平を下にしたまま)右腕を前に真っ直ぐ伸ばす
⑨それ
●(右腕は前に伸ばしたまま)左手の平を右肘の曲がり目辺りに軽く乗せる
⑩イチ
●左手の平を右太ももの前に(手の平を外に向けて)軽く添える
⑪ニの
●左手の平を左太ももの前に(手の平を内に向けて)軽く添える
⑫サン
●(左手の平を下にしたまま)左腕を前に真っ直ぐ伸ばす
※種まきを終えた後に箕の中に種が残っていないか右と左へ振って確認している仕草
⑬右へ流してチョン
●(右手の平を下に向けて、肩の高さで)
(左手は右手に平行で、両手の平は向かい合わせて)
右方へ流す
⑭左へ流してチョン
●(左手の平を下に向けて、肩の高さで)
(右手は左手に平行で、両手の平は向かい合わせて)
左方へ流す
※作業が終わって笠を脱ぐ仕草
⑮真ん中へそれトン
●男性⇒おへその上辺りに(両手の平を内側にして)添えてから、
両手の平を外側に反して腰の巾より外に開く
両手の平を外側に反して揃えて斜め前へ下ろす
※一日の作業を無事終え天に向かって合掌をしている仕草
⑯それイチ
●男性⇒(手の平は外側に向けて)
両手をおでこの上辺りに上げて、両肘も垂直に力強く上げる
●女性⇒(手の平は外側に向けて)
両手をハの字で口元に添える
⑰ニの
●両手の平は下に向けて斜め前に軽く伸ばす
⑱サン
両腕を前へ広げ、体は少し右手の方を向く
(左腕は左横に、肩の高さよりやや下)
(右腕は右斜め前に、肩の高さ)
両腕を前へ広げ、体は少し左手の方を向く
(左腕は左横に、肩の高さよりやや下)
(右腕は右斜め前に、肩の高さ)
宙返り
『呼び出しの手』
※農作業の始まりを告げる呼び出しの仕草
チョチョチョンのチョン
『ふるいの手』
※棚に置いてある種もみの箱を入れ替えたり種もみをふるいにかけたりしている仕草
ひいふうのみい
『宙返り』
※つばめが虫を追って宙返りをする仕草
それイチニのサンそれイチニのサン
『確認の手』
※種まきを終えた後に箕の中に種が残っていないか右と左へ振って確認している仕草
右へ流してチョン左へ流してチョン
『傘脱ぎの手』
※作業が終わって笠を脱ぐ仕草
真ん中へそれトン
『合掌の手』
※一日の作業を無事終え天に向かって合掌をしている仕草
それイチ
『直りの手』
※全ての作業を終わり身体を伸ばし一息ついている仕草
ニのサン
【稲刈り】 ※唄の下句で稲刈りが入る
●両手を左耳横で3拍・右腰前で1拍
※棚に置いてある種もみの箱を入れ替えたり種もみをふるいにかけたりしている仕草
②ひい
●(左手の平は上向きで)
(右手の平は下向きで)
(肩幅で肩の高さで)
両腕を前に伸ばす
③ふうの
●(両手の平を同時に右に裏返しながら)
両腕を斜め前に降ろす
(左手の平は下向き)
(右手の平は上向き)
④みい
●(両手の平を同時に左に裏返しながら)
両腕を最初の様に肩幅で肩の高さで前に伸ばす
(左手の平は上向き)
(右手の平は下向き)
※箕(み)と呼ばれる農具に種もみを入れ右へ左へと種をまく仕草
⑤右へまいてチョン
●前に両手を伸ばしたまま、右手の平をくるりと内に回して上に向ける
⑥左へまいてチョン
●前に両手を伸ばしたまま、左手の平をくるりと内に回して上に向ける
※種まきを終えた後に箕の中に種が残っていないか右と左へ振って確認している仕草
⑦右へ流してチョン
●(右手の平を下に向けて、肩の高さで)
(左手は右手に平行で、両手の平は向かい合わせて)
右方へ流す
⑧左へ流してチョン
●(左手の平を下に向けて、肩の高さで)
(右手は左手に平行で、両手の平は向かい合わせて)
左方へ流す
※作業が終わって笠を脱ぐ仕草
⑨真ん中へそれトン
●男性⇒おへその上辺りに(両手の平を内側にして)添えてから、
両手の平を外側に反して腰の巾より外に開く
●女性⇒おへその上辺りに(両手の平を内側にして)添えてから、
両手の平を外側に反して揃えて斜め前へ下ろす
『稲刈り』
※つばめが虫を追って宙返りをする仕草
⑩それ
●右手は(手の平を内側にして)右下腹辺りに軽く添え
左手は(手の平を外にして)左腰の外側のやや後方辺りに軽く添える
⑪イチ
●左手で稲の束を集めて手で掴んで前まで持ってきた様な形を作る
⑫ニ
●右手を右斜め上に上げる
⑬サン
●右手を左斜め下に振り下ろし、カマで稲を刈る様な動きをする(稲を掴んでいる左手の下を通る)
⑭シ
●稲を掴んだままの左手首の上に、(右手の平を外に向けて)右手を差し入れクロスに交差させる
⑮ゴ
●交差させている右手を手前に引き、滑らせて左手首を一回りさせた後に、両手は握り拳で稲を結ぶ様な形で左右に軽く引く
⑯それトン
※右側の竿に稲の束を掛ける
●“右へ流してチョン”より高めに放り投げる形
※一日の作業を無事終え天に向かって合掌をしている仕草
⑰それイチ
●男性⇒(手の平は外側に向けて)
両手をおでこの上辺りに上げて、両肘も垂直に力強く上げる
●女性⇒(手の平は外側に向けて)
両手をハの字で口元に添える
⑱ニの
●両手の平は下に向けて斜め前に軽く伸ばす
⑲サン
両腕を前へ広げ、体は少し右手の方を向く
(左腕は左横に、肩の高さよりやや下)
(右腕は右斜め前に、肩の高さ)
両腕を前へ広げ、体は少し左手の方を向く
(左腕は左横に、肩の高さよりやや下)
(右腕は右斜め前に、肩の高さ)
『呼び出しの手』
※農作業の始まりを告げる呼び出しの仕草
チョチョチョンのチョン
『ふるいの手』
※棚に置いてある種もみの箱を入れ替えたり種もみをふるいにかけたりしている仕草
ひいふうのみい
『種まきの手』
※箕(み)と呼ばれる農具に種もみを入れ右へ左へと種をまく仕草
右へまいてチョン左へまいてチョン
『確認の手』
※種まきを終えた後に箕の中に種が残っていないか右と左へ振って確認している仕草
右へ流してチョン左へ流してチョン
『傘脱ぎの手』
※作業が終わって笠を脱ぐ仕草
真ん中へそれトン
『稲刈り』
※稲刈りの仕草
それイチニサンシゴそれトン
『合掌の手』
※一日の作業を無事終え天に向かって合掌をしている仕草
それイチ
『直りの手』
※全ての作業を終わり身体を伸ばし一息ついている仕草
ニのサン
おわらの歌詞について
おわらの唄の歌詞の基本は、全国各地の民謡に多くみられる7文字、7文字、7文字、5文字の26文字で1コーラスを構成するのが特徴である日本の伝統的な歌謡の“甚句(じんく)形式”となる。
前半の7文字、7文字が上の句、後半の7文字、5文字が下の句となり、最後の5文字の前に「オワラ」を入れる。
上の句の前には「唄われよ、わしゃ囃す」と囃しが入る。
上の句と下の句の間に「キタサノサ ドッコイサノサ」の囃しが入る。
(長囃し)「越中で立山、加賀では白山、駿河の富士山、三国一だよ」
(囃し)「唄われよ、わしゃ囃す」
(上の句)♪唄の町だよ 八尾の町は
(合いの手、囃し)「キタサノサードッコイサノサ」
(下の句)♪唄で糸取る オワラ 桑も摘む
歌い出しは、囃子言葉が入った後に上の句の唄が始まるので、囃し手の「唄われよ、わしゃ囃す」が聞こえたら次は宙返りの所作を入れる。
下の句の唄が始まったら、稲刈りの所作を入れる。